バイオリン、ビオラ、チェロの楽器のサイズに関係なく、一般的に使用できるネックの幾何学的デザイン方法について述べます。 ⌜弦の長さ⌟を出発点とし、⌜指板上の音程の位置と音程と音程の間隔⌟を使ってデザインします。
View as PDF
Download PDF version
本研究は、バイオリンやビオラ、チェロにおける楽器の大きさにかかわらず、一般的に使用できるネックの幾何学的設計方法を確立することを目的とする。そのような汎用的な設計方法が存在すると、その方法によって計算された値は 1 つの ⌜ 基準値 ⌟ と考えることができ、場合によっては制作者の意図に従ってその値を少し変更して使用することもできる。そのような汎用的設計方法の存在は一貫した作業を可能にし、楽器の信頼性を高めることができる。
この研究では、幾何学的原理を利用してネックを設計する。しかし、ネックの形状は、楽器の剛性と演奏の利便性によって決定されるべきであり、よって、それを幾何学的に決定することはできないという矛盾が生じる。この矛盾を解決する唯一の方法は、⌜ 経験値とできるだけ近い値を得ることのできる幾何学的方法 ⌟ を探すことである。したがって、本レポートでは過去のデータを元にしている。
本レポートでは、⌜ 弦の長さ (振動部)⌟ をすべての計算の出発点とする。その理由は、弦の長さが長くなると、弦の張力もより大きくなり、より厚いネックが必要になる。また、弦が長くなるにつれて指板上の半音間距離も遠くなるため、左手ポジションに変化が生じることになる。つまり、弦の長さによってネックのデザインが変わらなければならないからである。出発点の候補として ⌜ ストップレングス ⌟ も考えてみることができるが、それは弦の長さとは少し異なる次元を持つ。ストップレングスが長くなると、ネックの長さや弦の長さの両方が長くなり、したがって上記のようにネックの厚さと左手ポジションに変化が生じる。しかし、ストップレングスは変わらないが、弦の長さだけ変化する場合も存在する。ブリッジの高さが変わったり、ブリッジの位置が移動した場合である。したがって、ネックデザインの基本的な出発点は、⌜ 弦の長さ ⌟ でなければならない。
演奏者が第 1 ポジション (ネックの上部) をつかんだときは、人差し指が最初の半音の位置をすばやく見つけることができなければならず、第 4 ポジション (ネックの下部) をつかんだときは、人差し指が 7 番目の半音の位置をすばやく見つけることができなければならない。この 2 つは、ネックの上下の曲線形状とその曲線の位置によって決められる。すなわち、演奏者から見ると、ネックのデザインは指板上の音程位置によって決まるものである。そのような指板上の音程位置は弦の長さによって決定されるので、本研究では弦の長さを出発点として ⌜ 指板上の各音程の位置と 音程と音程の間隔 ⌟ を用いる。
バイオリン (ビオラ) とチェロはジオメトリ面で大きな違いを持っているので、2 つのケースを区別して説明する。顎 のないビオラはバイオリンとまったく同じ方法を使用し、顎のあるビオラのネックの上部曲線はチェロの場合を参照すればよい。
最後に、本レポートでは精度を上げるためにすべての値を小数点以下 2 桁まで表記したが、実際の楽器製作には小数 点以下 1 桁に丸めて適用すればよい。また、数字だけ記述した場合には、長さ単位の mm が省略されたものである。
目次
(内容はPDFから)
1. バイオリンとビオラ (顎のないモデル)
1.1. 準備
1.2. ボタンのサイズ
1.3. ネックの厚さと測定位置
1.4. 指板を含むネックの厚さ
1.5. 上部曲線
1.6. 下部曲線
1.7. ネックの断面
1.8. ネック先端の角度
2. チェロ
2.1. 準備
2.2. ボタンのサイズ
2.3. ネックの厚さと測定位置
2.4. 指板を含むネックの厚さ
2.5. 上部曲線
2.6. 下部曲線
2.7. ネックの断面
2.8. ネック先端の角度
誤解があったため、追加します。
本レポートの目的は、弦の長さを出発点とし、音程を利用してデザインする汎用的な方法を構築することにより、ネックデザインにおいて一つの出発点を提示したことであることをお知らせいたします。 (完成した最高の結果を意味するのではありません。)
このレポートで提起された問題は次のとおりです。
- ネックの 厚さラインは直線であってはいけない。
- ヘッドの先端が指板の上端と同じ線上にあってはいけない。
- ネック断面形状は楕円形であってはいけない。
- ネック下部曲線の半径が大きい。
上記は、幾何学的に単純化するのが非常に難しい問題であるか、または私がまだ解決策を見つけることができなかったものです。