top of page

Report :: UVによる木材の光変色

更新日:1月12日


(9年前に行った実験です。)

木材をUV光にさらしたときにどのように色が変わっていくかを確認する実験です。 100時間単位で600時間まで実験し、最適な時間を見つけます。



 

View as PDF


 

Download PDF version


 

ヴァイオリンのワニス作業前に行う木材の地色作業(Sottofondo, Ground coloring)には様々な方法が試みられている。 顔料/染料等を木材に直接塗る方法と亜硝酸ナトリウム(NaNO2)等を塗布した後、UVに露出させる化学的方法などが広く用いられている。 結果物の完成度だけを見てみると、本人の場合にはまだ満足できる結果物が得られなかったため、本実験を実施することになった。


本人が考える上記方法の共通の問題点は、満足できる色を得ることができないことであり、さらに顔料/染料による方法は、よく乾いた木に溶剤(水、アルコールなど)を直接適用しなければならないという問題点がある。 また、NaNO 2 + UV法は、木の種類(maple、spruce)によって異なる色が出るという問題点と、NaNO 2の塗布の度合いによって色の彩度が異なるように表現される点などがある。 誤って塗布しなかったところは、その部位だけが白く残る問題もある。


誰が何を言っても、最も美しく自然な木の色は、長年の変化に応じて自然に変色した木の色であろう。 それはほとんど太陽光の紫外線によるものであり、場合によっては様々な汚染も一つの原因となる。


今回の実験では、紫外線による木材の色の変化を確認する。 7個の試験片を準備し、100時間から600時間までの木材の色がどのように変化するかを確認し、最も合理的な露光時間を調べることがこの実験の目的である。



1. 実験装置


  • 試験片 : maple 小片* 7EA

  • UV-A ランプ: 40W 1EA + 6W 2EA

  • UV-C ランプ: 36W 1EA + 6W 2EA



2. 実験方法


  1. 試験片 1本を光の当たらない箱に入れて保管

  2. 試験片 6本をUV-Boxに入れて光露出開始

  3. 100時間後、UV-Boxから試験片1本を取り出す。

  4. 200時間(累積)後、UV-Boxから試験片1本を取り出す。

  5. ...

  6. 600時間(累積)後、UV-Boxから最後の試験片1本を取り出す。(UV-Box off)

  7. 7本(露出時間 0h, 100h, 200h,..., 600h)の試験片を一箇所に置いて色を比較する。



3. 結果と考察



0時間と100時間は大きな差があり、100時間と200時間は大きな差がなく、200時間と300時間では少しの差が観察される。 300時間以降は変化が非常に遅い。 また、結果写真を見ると、600時間より500時間の色が濃いが、これは試料ごとに少しずつ組織が異なるため得られた結果と推測される。 以上の本実験に限って判断すれば、UVによる光変色は300時間でほぼ完了されると見られる。


ただ一組の試験片に対する1回のみの実験であるため、十分に普遍的な結果だとは言い難いが、この程度の実験結果だけでも楽器作業には十分に適用できると予想される。 1つ残念なことは、200時間と300時間の間にも測定値があれば良かったと思われる。


効率面で見ると、実際の楽器作業時には300時間以内が適切に見え、時間が足りないときは100時間程度でも一部の効果が得られるとおもう。この実験で使用したUVランプよりも多くのランプを使用すると、その時間をさらに短縮できる。 ランプの数が増えるにつれて、UV-Box内の温度はより高くなり、湿度は低下するため、実際の楽器に適用する場合には、それに対する対策が(ファン、加湿)必要である。




タグ:

閲覧数:11回0件のコメント

Bình luận


bottom of page